ゴールデンウィーク明けに増える欠勤・退職・メンタル不調への会社対応
お知らせ
ゴールデンウィーク明けは、企業にとって労務トラブルが表面化しやすい時期です。
連休前までは通常どおり勤務していた従業員が、連休明けに突然出社しなくなる、退職の申し出をする、メンタル不調を理由に休みたいと連絡してくる、といった相談が増えることがあります。
特に4月に入社した新入社員や、異動・配置転換があった従業員は、環境の変化による疲労や不安が連休明けに一気に出ることもあります。
会社としては、感情的に対応するのではなく、就業規則・労働契約・安全配慮義務・社会保険手続きなどを踏まえて、冷静に対応することが重要です。
この記事では、ゴールデンウィーク明けに起こりやすい欠勤・退職・メンタル不調への対応について、会社側の実務ポイントを解説します。
1. 連休明けに出社しない従業員への初動対応
まず重要なのは、無断欠勤なのか、体調不良による欠勤なのか、退職意思があるのかを確認することです。
連休明けに出社しない場合でも、すぐに「退職扱い」や「解雇」と判断するのは危険です。
会社としては、まず次のような方法で本人に連絡を取ります。
電話
メール
チャットツール
緊急連絡先への連絡
書面による連絡
このとき、連絡した日時・方法・内容は記録に残しておくことが大切です。
たとえば、電話に出なかった場合でも、いつ、何回連絡したのかを記録しておくことで、後日のトラブル防止につながります。
厚生労働省の就業規則作成資料でも、一定期間音信不通の場合の退職規定例が示されていますが、実際に退職扱いとするには、就業規則の規定や連絡状況、本人の意思確認の有無などを慎重に確認する必要があります。
2. 無断欠勤だからといって、すぐに解雇はできない
従業員が無断欠勤した場合、会社としては厳しく対応したくなることもあります。
しかし、無断欠勤があったからといって、直ちに解雇できるわけではありません。
解雇には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。また、解雇する場合には原則として30日前の予告、または解雇予告手当の支払いが必要になります。厚生労働省の資料でも、解雇予告や解雇制限について説明されています。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
実は病気で連絡できなかった
メンタル不調で出社できなかった
家族の事情で連絡が遅れていた
会社側のハラスメントや長時間労働が背景にあった
退職意思はなく、休職を希望していた
このような事情があるにもかかわらず、会社が一方的に退職扱いや解雇とすると、後日、不当解雇や未払い賃金の問題に発展する可能性があります。
そのため、まずは本人の状況確認を行い、必要に応じて診断書の提出を求めるなど、段階を踏んだ対応が必要です。
3. 「退職したい」と言われた場合の対応
ゴールデンウィーク明けには、突然「退職したい」と申し出る従業員もいます。
この場合、会社としては、まず退職の意思が本人の自由な意思によるものかを確認することが大切です。
退職の申し出があった場合には、次の点を確認します。
退職希望日
退職理由
有給休暇の取得希望
貸与品の返却
業務引継ぎ
社会保険・雇用保険の手続き
離職票の要否
退職の申出時期については、民法上、期間の定めのない雇用契約では原則として2週間前の申し出により終了するとされています。労働局のQ&Aでも、退職の申出は2週間前までという項目が示されています。
ただし、就業規則で「退職の1か月前までに申し出ること」などと定めている会社も多くあります。
実務上は、就業規則の規定を説明しつつ、本人の事情、引継ぎの必要性、有給休暇の残日数などを踏まえて、退職日を調整することになります。
4. 退職代行から連絡が来た場合
近年は、従業員本人ではなく、退職代行業者から会社に連絡が来るケースもあります。
この場合も、会社側が感情的に対応するのは避けるべきです。
まず確認すべきことは、退職の意思が本人の意思に基づくものかという点です。
退職代行業者からの連絡に対しては、次のような事項を整理します。
本人の退職意思の確認方法
退職届の提出方法
退職日
有給休暇の取扱い
貸与品の返却方法
私物の返却方法
最終給与の支払い
離職票・源泉徴収票などの送付先
また、退職代行業者が弁護士でない場合、会社との交渉がどこまで可能かという問題もあります。
有給休暇の取得、未払い賃金、退職条件などについて交渉に近い話になる場合は、慎重な対応が必要です。
会社としては、本人確認を行い、必要な手続きを淡々と進めることが重要です。
5. メンタル不調の申し出があった場合
ゴールデンウィーク明けには、「出社できない」「体調が悪い」「精神的にきつい」といったメンタル不調の相談が出ることもあります。
この場合、会社としては、単なる欠勤として処理するのではなく、体調面への配慮が必要です。
まずは、本人の状態を確認し、必要に応じて医療機関の受診を促します。
そのうえで、会社として次のような点を確認します。
欠勤扱いにするのか
有給休暇を利用するのか
診断書の提出を求めるのか
休職制度の対象になるのか
復職時の手続きはどうするのか
業務内容や勤務時間の配慮が必要か
厚生労働省は、メンタルヘルス不調により休業した労働者の職場復帰支援について、事業者向けの手引きを公表しています。職場復帰にあたっては、主治医の意見だけでなく、会社の業務内容や職場環境を踏まえた対応が求められます。
メンタル不調の対応では、会社が良かれと思って行った対応が、本人にとって負担になることもあります。
そのため、連絡頻度、業務連絡の方法、休職中の接し方、復職判断などについては、慎重に進める必要があります。
6. 試用期間中の従業員への対応にも注意
4月入社の社員の場合、ゴールデンウィーク明けはまだ試用期間中であることが多いです。
しかし、試用期間中だからといって、会社が自由に解雇できるわけではありません。
厚生労働省のモデル就業規則関連資料でも、試用期間中の者について、14日を超えて雇用した後に解雇する場合には、原則として30日前の予告が必要とされています。
また、試用期間中の本採用拒否であっても、実質的には解雇に近い問題となるため、客観的・合理的な理由が必要です。
「何となく合わない」
「思ったより仕事ができない」
「連休明けに休んだから」
といった理由だけで安易に本採用拒否や解雇を行うと、トラブルになる可能性があります。
試用期間中の社員に問題がある場合は、注意指導の記録、改善機会の付与、勤務状況の確認などを行い、段階的に対応することが大切です。
7. 会社が整備しておくべき就業規則のポイント
GW明けの欠勤・退職・メンタル不調への対応では、就業規則の整備状況が非常に重要です。
次のような規定が曖昧な場合、対応に迷いやすくなります。
欠勤時の連絡方法
無断欠勤が続いた場合の取扱い
自然退職・当然退職の規定
休職制度
復職手続き
診断書の提出
退職の申し出時期
懲戒処分
試用期間中の取扱い
有給休暇の取得手続き
特に、無断欠勤が続いた場合に「何日で退職扱いにするのか」「どのような連絡を行うのか」「本人に意思確認をするのか」が定められていないと、実務対応が難しくなります。
また、メンタル不調による休職・復職についても、制度が整っていないと、会社ごと・担当者ごとに対応がばらつきやすくなります。
結果として、従業員とのトラブルや不公平感につながる可能性があります。
8. 顧問社労士がいる会社のメリット
欠勤、退職、メンタル不調の問題は、発生してから慌てて対応すると、判断を誤りやすい分野です。
特に中小企業では、社長や総務担当者が一人で対応してしまい、後から問題が大きくなるケースもあります。
顧問社労士がいることで、次のような相談を日常的に行うことができます。
欠勤者への連絡方法
退職申出への対応
退職代行から連絡が来た場合の対応
メンタル不調者への配慮
休職・復職の判断
試用期間中の対応
就業規則の見直し
社会保険・雇用保険の手続き
労務トラブルを防ぐ社内ルール作り
労務問題は、問題が起きてから対応するよりも、日頃から相談できる体制を作っておくことが重要です。
顧問契約を結んでおくことで、会社の状況を理解した社労士に継続的に相談できるため、突発的な労務トラブルにも対応しやすくなります。
まとめ|GW明けの労務トラブルは初動対応が重要です
ゴールデンウィーク明けは、欠勤、退職、メンタル不調などの労務相談が増えやすい時期です。
会社としては、従業員が出社しないからといって、すぐに退職扱いや解雇とするのではなく、まず本人の状況を確認し、記録を残しながら慎重に対応する必要があります。
また、退職の申し出、退職代行、メンタル不調、試用期間中の欠勤などは、それぞれ実務上の注意点が異なります。
対応を誤ると、労務トラブルや不当解雇の主張、未払い賃金、有給休暇、社会保険手続きの問題に発展することもあります。
当事務所では、欠勤・退職・メンタル不調への対応、就業規則の見直し、休職・復職制度の整備、日常的な労務相談についてサポートしています。
従業員対応で判断に迷う場合は、早めに社会保険労務士へご相談ください。問題が大きくなる前に、会社の実情に合った対応方法を一緒に検討いたします。



