育児のための短時間勤務制度(育児短時間勤務)とは
お知らせ
3歳未満の子を育てる従業員は、育児介護休業法(育介法)に基づき、所定労働時間を短縮できる「短時間勤務制度」を利用する権利があります。この制度は会社の規模に関わらず義務として導入が求められており、就業規則等への規定も必須です。本記事では、対象者・非対象者・短縮時間・社会保険の取り扱いについて、実務上のポイントを解説します。
1. 短時間勤務制度の概要
育児介護休業法第23条により、3歳未満の子を育てる男女の従業員は、1日の所定労働時間を短縮する措置(原則として1日6時間)を申し出ることができます。「所定労働時間」とは、就業規則等に定められた通常の勤務時間のことです。会社はこの申し出を拒否することができません。
2. 対象となる従業員
以下のいずれにも該当する従業員が対象です。
3歳未満の子を育てている従業員(男女不問)
期間を定めて雇用されているパート・有期雇用従業員も対象になります
配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます(育児休業と異なり、配偶者の就労状況は問いません)
3. 対象とならない従業員
次のいずれかに該当する従業員は、制度の対象外となります。
日雇い労働者
1日の所定労働時間がすでに6時間以下の従業員
勤続1年未満の従業員など、労使協定により対象外とすることが認められている一定の従業員
4. 短縮後の労働時間と利用期間
【短縮時間の基準】
会社は、必ず「1日の所定労働時間を5時間45分~6時間とする」制度を設けなければなりません。これより長い時間(例:7時間)や短い時間(例:5時間)だけを選択肢とした場合は、法的要件を満たしていないとみなされます。
ただし、6時間に加えて5時間や7時間の選択肢も設け、従業員が選択できる複数制度とすることは問題ありません。むしろ、複数の選択肢を設けることで従業員の利便性が高まります。
【利用できる期間】
子どもが3歳になるまでの間、従業員が申し出た期間について利用できます。
5. 社会保険(健康保険・厚生年金)の適用
【原則:4分の3基準】
短時間勤務中の社会保険加入については、「常用的使用関係」にあり、かつ労働時間・労働日数がともに同じ事業所の一般従業員の4分の3以上である場合に被保険者となります。
逆に言えば、4分の3未満に短縮された場合は、原則として社会保険から外れることになります。ただし、週20時間以上・月額8.8万円以上等の要件を満たす場合は、特定適用事業所等において短時間労働者として加入対象となる場合もあります(2024年10月以降は適用要件の拡大あり)。
【例外:短時間正社員の場合】
正社員が短時間勤務に移行した場合(いわゆる「短時間正社員」)は、上記の4分の3基準によらず、以下の3要件をすべて満たすときに社会保険の被保険者と扱われます。
| ① | 労働契約・就業規則・給与規程等に、短時間正社員に関する規定がある |
| ② | 期間の定めのない労働契約が締結されている(無期雇用) |
| ③ | 時間当たりの基本給・賞与・退職金等の算定方法がフルタイム正社員と同等で、かつ就労実態も各規程に則している |
6. 実務上のポイント・注意事項
就業規則への規定が必要:短時間勤務制度は就業規則等への記載が義務付けられています。未整備の場合は早急に整備しましょう。
申し出の手続き:従業員からの申し出は原則として開始予定日の1か月前までに行うこととされています(就業規則で定める場合)。
育児休業との関係:育児休業明けに短時間勤務に移行する場合は、社会保険の養育特例(3歳未満の子がいる間は短時間勤務前の標準報酬月額を適用)を利用できます。将来の年金額に影響するため、従業員への案内が重要です。
雇用保険の育児時短就業給付:2025年4月施行の育児時短就業給付金により、短時間勤務中も給付金が受給できるようになりました。対象となる従業員への周知が望まれます。
不利益取り扱いの禁止:短時間勤務の申し出・取得を理由とした解雇・降格・減給などは禁止されています。
まとめ
育児短時間勤務制度は、少子化対策の観点からも国が整備を強化している制度です。制度の整備だけでなく、従業員が実際に使いやすい職場環境づくり・周知が会社に求められています。
就業規則の整備や社会保険手続き、育児時短就業給付金の申請サポートについては、社会保険労務士にご相談ください。
【この記事について】
執筆:岩元事務所(葛飾区・社会保険労務士)
※法令は随時改正されます。最新情報は厚生労働省・社会保険労務士にご確認ください。



