給与担当者が知るべき法律①
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【労働基準法の基本原則】
労働基準法1条1項は、日本国憲法25条1項(※1)と趣旨を同じくするものであり、日本国憲法27条2項(※2)を受けて制定されました。
(※1)「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
(※2)「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」
労働基準法1条2項では、たとえ労使の合意があったとしても、労働基準法を上回る労働条件について、労働基準法を理由として労働条件を低下させてはいけません。
労働基準法第一条例えば、時間外労働をさせる場合、割増賃金の支払いが必要です。時間外労働に対する割増賃金は、労働基準法で「通常の賃金の2割5分以上」とされていますが、会社独自に「通常の賃金の5割以上」と定めていれば、労働基準法よりも良い労働条件と言えます。
しかし、この条件を突然止めて、労働基準法通り「通常の賃金の2割5分」としたとします。
これは、労働条件の低下に当てはまり、“労働基準法通りだから”という理由で労働条件を低下させてはいけません。
しかし、ただ単純に労働条件の引き下げを禁止している訳ではなく、“労働基準法を理由にして”労働条件を引き下げてはいけませんよということです。
つまり、条件引き下げの“理由”がポイントとなります。
例えば、「会社の業績不振による減給」であれば、理由となります。
ただし、理由が通れば労働条件を引き下げても良いのかと言うと、これも違います。
賃金や就業時間といった労働条件も雇用契約書を交わし、契約として成立していますので、原則、従業員の合意がないと変更はできません。
労働契約法でもそのように規定されています(労働契約法第8条:労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる)。
このような従業員の不利益にあたる変更は、トラブルにも発展しかねません。
業績が良いからなどと、むやみに労働条件の向上を行う前に、まずはもう一度、労働基準法の基本を振り返ってみることも大事です。
「うちの会社の規定はこれで大丈夫?」
「法改正があったようだけど、どう対応していけばいいの?」
などお悩みがあれば、是非ご相談ください!