【令和8年度】保育園の不適切保育防止研修・メンタルヘルス研修|2つの加算で最大80万円
お知らせ
東京都の「保育サービス推進事業補助金」には、保育所が専門家による研修を実施した場合に補助を受けられる加算があります。
令和8年度は、保育所地域子育て支援推進加算として、次の2つの研修が設けられています。
- 加算項目5:不適切保育防止研修
- 加算項目6:メンタルヘルス研修
それぞれについて、研修の実施回数と参加延べ人数に応じて、年額10万円・20万円・40万円の加算があります。
したがって、
不適切保育防止研修で最大40万円
+
メンタルヘルス研修で最大40万円
=
合計最大80万円
となります。
東京都の資料でも、加算項目5と加算項目6はそれぞれ独立した加算項目として定められています。
また、東京都保育サービス推進事業補助金の交付額は、「該当の加算項目ごとに算定された額の合計額」とされています。
当事務所では、社会保険労務士事務所として、メンタルヘルス研修の企画・実施について対応することが可能です。
1.加算項目5・6の概要
対象となるのは、次の2種類の研修です。
| 加算項目 | 研修内容 | 最大加算額 |
|---|---|---|
| 加算項目5 | 専門家による不適切保育防止研修 | 40万円 |
| 加算項目6 | 専門家によるメンタルヘルス研修 | 40万円 |
| 両方実施 | 上記2研修の要件をそれぞれ満たす場合 | 最大80万円 |
この加算は、単に園内で職員研修を行えばよいという制度ではありません。
東京都の資料では、地域として不適切保育防止やメンタルヘルスへの理解・取組を深めるため、地域の他施設へ参加を呼び掛けた上で、専門家による研修を実施することが求められています。
2.補助額はそれぞれ最大40万円
加算項目5、加算項目6ともに、算定基準は同じです。
| 年間の研修実施回数 | 研修参加延べ人数 | 年額 |
|---|---|---|
| 1回以上 | 10人以上 | 10万円 |
| 2回以上 | 20人以上 | 20万円 |
| 4回以上 | 40人以上 | 40万円 |
重要なのは、実施回数と延べ参加人数の両方を満たす必要があることです。
例えば、年間2回研修を実施しても、参加延べ人数が18人であれば20万円の区分には該当しません。
反対に、1回の研修に20人が参加しても、実施回数が1回であれば20万円にはなりません。
3.両方実施すれば最大80万円
加算項目5と加算項目6は別々の加算項目です。
そのため、例えば、
不適切保育防止研修を年4回以上・延べ40人以上
メンタルヘルス研修を年4回以上・延べ40人以上
それぞれ実施した場合、
40万円+40万円=最大80万円
の加算となります。
ただし、それぞれについて独立して要件を満たす必要があります。
例えば、不適切保育防止研修4回とメンタルヘルス研修4回を実施する場合には、原則としてそれぞれの研修について実施回数・参加人数を管理しておく必要があります。
4.地域の他施設への呼び掛けが必要
この加算の大きなポイントが、地域の他施設への参加案内です。
東京都の資料では、地域の2つ以上の施設に参加を呼び掛けて研修を実施した場合に加算対象となるとされています。
同一法人の系列園だけに周知した場合は対象外です。
一方で、他法人の施設へ実際に参加を呼び掛けた結果、参加したのが自法人の職員だけだった場合でも算定可能です。
つまり、
「実際に他法人の施設へ参加の機会を提供していること」
が重要になります。
呼び掛け方法について特別な指定はなく、
- メール
- ホームページ
- 紙の案内
- FAX等
でも構いません。
ただし、後から確認できるように、他施設へ参加を呼び掛けた記録を保存しておく必要があります。
なお、加算を算定できるのは研修を「実施した」施設のみです。呼び掛けに応じて参加しただけの他施設側は、この加算の対象にはなりません。
また、複数の施設が共同で研修を企画し、地域の他施設へ参加を呼びかけて実施した場合、加算は1つの研修につき1施設のみが算定できます。共同開催を予定している場合は、あらかじめ「主たる施設」を決めておき、その施設から申請することになります。
5.「地域」は同じ区内に限られない
「地域の他施設」といっても、同一区や隣接区である必要はありません。
東京都の資料では、東京都内に所在する施設であれば対象とされています。
例えば、葛飾区の保育所から、足立区、江戸川区、墨田区などの施設へ案内することも可能です。
参加対象となる施設には、
認可保育所、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業所、家庭的保育事業所、事業所内保育事業所、居宅訪問型保育事業所、認可外保育所、企業主導型保育所などが含まれます。
なお、都外施設の職員が参加すること自体は可能ですが、参加人数としてカウントできるのは都内施設の職員のみです。
6.参加者は保育士に限られない
参加者は保育士だけに限定されません。
東京都資料では、施設に勤務する職員であれば、
- 保育従事者以外
- 非常勤職員
- 派遣職員
も対象になるとされています。
そのため、メンタルヘルス研修の場合には、保育士だけでなく、園長、主任、事務職員、調理職員などを含めて実施することもできます。
7.メンタルヘルス研修は社会保険労務士でも実施可能
東京都の資料では、「専門家」について、特定の資格だけに限定しているわけではありません。
専門家の要件として、
保育所・企業等においてメンタルヘルスに係る一定の実務経験を有する者、自治体や企業が主催する研修の受託経験者、関係する研修等の受講により一定の知識を持つ者
などが挙げられています。
また、メンタルヘルス研修の専門家としては、
精神保健福祉士、医師、産業医、公認心理師、保健師などが例示されています。
ただし、これらは例示であり、職種を限定するものではありません。
そのため、職場のメンタルヘルス対策について一定の知識・実務経験・研修実績を有する社会保険労務士であれば、専門家として研修を実施することは可能と考えられます。
当事務所でも、社会保険労務士事務所として、保育事業所向けのメンタルヘルス研修に対応可能です。
専門家の該当性は、要綱上、最終的に実施法人(保育所側)の判断とされています。加算の算定を確実にしたい場合は、研修を委託する前に、講師の実務経験・実績等について所轄の区市町村または東京都保育支援課へ事前にご確認いただくことをおすすめします。
8.社労士が行うメンタルヘルス研修の内容例
社会保険労務士が研修を行う場合には、医療行為や診断ではなく、職場におけるメンタルヘルス対策や労務管理を中心とした研修が考えられます。
例えば、
「職場のメンタルヘルスの基礎知識」
「ストレスのサインと早期対応」
「管理職によるラインケア」
「職員から相談を受けた場合の対応」
「休職・復職時の労務管理」
「ハラスメントとメンタルヘルス」
「保育現場のコミュニケーション改善」
などです。
ただし、この加算では、メンタルヘルスを主とした研修である必要があります。
一般的な労務管理研修の一部としてメンタルヘルスを取り扱うだけでは、対象にならないとされています。
東京都資料でも、「保育実務研修」の一部に不適切保育防止やメンタルヘルスを含めるだけでは対象外とされています。
9.研修回数の数え方にも注意
年間4回実施すれば、自動的に40万円になるわけではありません。
例えば、1つの内容の研修を単に4回に分けて開催した場合には、全部で1回として扱われます。
一方で、
「全職員向け研修」
「管理職向け研修」
のように、対象者やテーマが異なる場合には、それぞれ1回としてカウントすることができます。
また、同じテーマでも、地域の他施設の職員等を対象として、参加者を変えて複数回実施した場合には、それぞれ1回として扱うことができます。
したがって、最大40万円を目指す場合には、年度当初から研修内容と対象者を計画しておくことが重要です。
10.オンデマンド研修は算定対象外
東京都資料では、実地研修のみ実施回数の算定対象とされています。
オンデマンド配信を視聴した職員については、参加人数としてカウントすることができません。
また、参加予定だったものの当日欠席した職員についても、参加人数には含めることができません。
申込人数ではなく、実際に参加した人数で判断されます。
11.参加費や教材費の徴収はできない
参加者から参加費や教材費を徴収した場合は、補助対象外となります。
他施設の職員を募集する場合でも、
「参加費1,000円」
「資料代500円」
などを徴収しないよう注意が必要です。
12.研修時間に最低時間の定めはない
研修時間について、「最低1時間」などの定めはありません。
ただし、東京都資料では、研修目的を達成するために必要な時間・内容の研修を実施するよう求めています。
短時間の形式的な説明ではなく、不適切保育防止またはメンタルヘルスについて十分な内容の研修とする必要があります。
13.保管しておく書類
研修を実施した場合には、次の書類を整備しておく必要があります。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 保管様式13 | 専門家による研修実施の記録 |
| 広報の記録 | 他施設へ参加を呼び掛けたことがわかる記録 |
| 研修開催案内 | 日時・研修内容等がわかる資料 |
| 講師資料 | 講師の略歴・経歴等 |
| 研修資料 | 当日使用した資料 |
| 参加者名簿 | 実際の参加者が確認できるもの |
これらは、年度終了後5年間保存する必要があります。
東京都の補助金では、「施設に備える書類」がない場合には、補助金の返還につながることもあるため、研修実施時から記録を整備しておくことが重要です。
14.令和8年度のスケジュール
東京都保育サービス推進事業補助金は、
当初交付申請
↓
変更交付申請
↓
実績報告
という流れで手続きを行います。
令和8年度資料では、変更交付申請は11月頃、実績報告は翌年度6月頃とされています。
研修については年度末にまとめて実施するよりも、年度当初から年間計画を立てておく方がよいでしょう。
例えば、メンタルヘルス研修で最大40万円を目指す場合には、
6月 第1回
9月 第2回
12月 第3回
2月 第4回
といった形で年間4回の研修を計画し、延べ参加人数40人以上を目指す方法が考えられます。
不適切保育防止研修についても同様に4回以上・延べ40人以上の要件を満たせば、さらに40万円が加算され、2項目合計で最大80万円となります。
15.メンタルヘルス研修をご検討の保育園へ
保育現場では、人手不足、保護者対応、職員間のコミュニケーション、管理職の負担など、さまざまなストレス要因があります。
メンタルヘルス研修は、職員本人のセルフケアだけでなく、管理職による早期対応や、休職・復職への対応、職員の定着、働きやすい職場づくりにもつながります。
令和8年度の東京都保育サービス推進事業補助金では、
不適切保育防止研修 最大40万円
メンタルヘルス研修 最大40万円
の加算があり、両方の要件を満たした場合には合計最大80万円となります。
当事務所では、社会保険労務士事務所として、保育事業所向けのメンタルヘルス研修の企画・実施についてご相談いただけます。
研修内容だけでなく、
年間何回実施するか
他施設へどのように案内するか
参加人数をどう管理するか
どのような資料を保管するか
といった点も含め、補助金の要件を踏まえて事前に準備しておくことをおすすめします。
※補助金の申請時期、取扱い、必要書類等については、年度途中で変更される場合がありますので、実際の申請時には東京都および各区市町村の最新の案内をご確認ください。



