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【令和8年4月施行】労働契約の内容で扶養認定が変わる! 厚労省Q&A(第2版)を社労士が徹底解説

お知らせ 

令和8年4月1日から、健康保険の被扶養者認定において「労働条件通知書等の内容をもとに年間収入を判定する」新ルールが適用されます。
令和8年3月9日には厚生労働省からQ&A第2版が公表され、実務上の重要な追加・修正が加えられました。
本記事では、このQ&Aをもとに、担当者が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

1.新ルールの概要—なぜ労働契約で判定するのか

これまで被扶養者の年間収入は、過去の収入・現時点の収入・将来の収入見込み(所定外賃金を含む)をもとに判定してきました。しかし、130万円の壁を意識した「就業調整」が社会問題化する中、認定の予見可能性を高める目的で新しい取扱いが導入されます。

新ルールのポイントは次の2点です。

ポイント 内容
①判定の基準書類 労働条件通知書等(通知書等)に記載された時給・労働時間・日数などから年間収入見込額を算出
②臨時収入の扱い 労働契約に明確な規定がない時間外労働に対する賃金等(臨時収入)は年間収入に含めない
適用開始日:令和8年4月1日以降に認定日が到来するものから適用。
4月1日より前に遡って認定する場合は、従来の取扱いにより判定します。

2.実務で必要な書類と申立て

必要な書類の組み合わせ

提出書類 役割
労働条件通知書等(通知書等) 時給・所定労働時間・日数等を確認し年間収入見込額を算出
「給与収入のみである」旨の申立書 給与以外の収入(年金・事業収入等)がないことを申立人本人が証明
注意:課税(非課税)証明書は申立書の代わりにならない
課税証明書は前年度の所得を示すものであり、「今後1年間、給与収入のみである」ことを証明しません。申立書の代替にはなりませんので、別途申立書の取得が必要です。

「給与収入のみ」の申立てはいつ必要か

新認定時だけでなく、認定の適否確認(定期確認)においても毎回必要です(Q5-2)。認定後の定期確認フローにも組み込んでください。


3.新ルールが使えないケース

以下の場合は、新ルールによる年間収入判定ができず、従来どおり給与明細書・課税証明書等で判定します。

ケース 対応
労働時間の記載が不明確(例:「シフト制による」) 従来の書類で判定
契約期間が1年に満たない 従来の書類で判定
通知書等の提出がない 従来の書類で判定
給与以外の収入(年金・事業収入等)がある 従来の書類で判定
複数事業所勤務で一部事業所の通知書等が揃わない 全事業所分が揃わない場合は従来の書類で判定

 

 

 


4.複数事業所勤務の場合(Q2-3)

認定対象者が複数の事業所で働いている場合は、各事業所の通知書等すべての提出を求め、各社の年間収入見込額を個別に算出したうえで合算して判定します。

注意:一部の事業所分しか揃わない場合は全体として従来方式に切り替え
1社でも通知書等で年間収入を算定できない事業所があれば、全事業所を含めて給与明細書・課税証明書等による従来の判定に切り替えます。

5.認定後の「定期確認」の頻度と手順(Q7)

新ルールでの認定後の定期確認について、以下のとおり整理されました。

タイミング 内容
認定後1年以内 確認不要
2年目以降(少なくとも年1回) 最新の通知書等を徴収し被扶養者の要件を確認
認定から1年経過後 実際の年間収入との乖離確認のため、給与明細・課税証明書の追加提出を求めることも可

 


6.臨時収入で130万円を超えた場合の取り消しルール(Q8〜Q8-4)

原則:すぐに取り消さなくてよい

定期確認の結果、臨時収入(残業代等)によって実際の年間収入が130万円以上となっていた場合でも、「社会通念上妥当な範囲」であれば取り消し不要です。

取り消しが必要なケース

次のような場合は取り消しを行ってかまいません。

  • 通知書等に賃金や労働時間を不当に低く記載していたことが判明したとき
  • 実際の年間収入が社会通念上妥当な範囲を大きく超えて130万円を上回っているとき
「社会通念上妥当な範囲」の具体的な金額は示せない
厚労省Q&A(Q8-4)では、具体的な金額基準を設けると新たな「年収の壁」となりかねない、金額だけでは判断困難、等の理由から、一概に示すことは困難とされています。保険者(健保組合・協会けんぽ)の個別判断が基本となります。

認定に遡って取り消しが必要なのはどんな場合か

状況 取り消しの起点
認定時に瑕疵なし(残業発生は認定後の事情) 被扶養者の認定の適否に係る確認を行った日以降
認定時に瑕疵あり(通知書等・申立書の内容に誤りがあった等) 認定時に遡って取り消し

 

 

 


7.契約更新・労働条件変更時の注意(Q9)

時給・所定労働日数等に変動がない単純な契約更新であっても、更新のたびに最新の通知書等の提出を求める必要があります。内容が変わらなくても書類の更新は必須です。採用手続きのフローに組み込むことを推奨します。

 


8.基準額は全員130万円ではない

年間収入の基準額は認定対象者の属性によって異なります。

認定対象者の属性 基準額
原則(被保険者の配偶者含む) 130万円未満
60歳以上、または障害厚生年金受給要件に該当する程度の障害者 180万円未満
被保険者の配偶者以外で19歳以上23歳未満の者 150万円未満

 


9.実務チェックリスト

確認項目 対応
認定日は令和8年4月1日以降か 4月1日以降なら新ルール適用
労働条件通知書等は揃っているか 複数事業所の場合は全社分
シフト制・短期契約など不明確な記載はないか ある場合は従来方式で判定
「給与収入のみ」の申立書を取得しているか 新認定時・定期確認時ともに必要
契約更新のたびに最新の通知書等を取得しているか 内容変更なしでも毎回必要
定期確認の頻度は適切か 認定後1年以内は不要、2年目以降は年1回以上

 


まとめ

令和8年4月1日からの新しい扶養認定ルールは、就業調整問題への対応として導入されたものです。労働条件通知書等をもとに認定することで予見可能性は高まりますが、一方で書類管理・定期確認・複数事業所対応など、実務上のフロー整備が求められます。

特に今回のQ&A第2版では、複数事業所勤務のケース(Q2-3)、「給与収入のみ」申立ての適用範囲の明確化(Q5-2・Q5-3)、遡及取り消しの考え方(Q8-2・Q8-3)など、実務で直面しやすい論点が多数追加されています。

社内手続きの見直しやご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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参考:「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)」(令和8年3月9日付 厚生労働省保険局保険課・年金局事業管理課事務連絡)

 

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