在留資格「技術・人文知識・国際業務」 派遣形態で就労する場合の取扱いと申請実務
お知らせ
在留資格「技術・人文知識・国際業務」 派遣形態で就労する場合の取扱いと申請実務
〜令和8年3月9日運用開始の新ルール対応〜
行政書士岩元事務所 / 社会保険労務士岩元事務所
はじめに
外国人材の活用が広がるなか、「技術・人文知識・国際業務」(以下「技・人・国」)の在留資格を持つ外国人を派遣労働者として雇用する企業が増えています。しかし、派遣形態での就労は通常の直接雇用とは異なる在留審査上の取扱いがあり、手続きを誤ると許可が下りないリスクがあります。
令和8年3月9日から、出入国在留管理庁(入管)は派遣形態で就労する外国人の申請に関する新しい運用を開始しました。本記事では、この新ルールの内容と実務上の留意点をわかりやすく解説します。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
新運用の4つの重要ポイント
入管が公表した通知(令和8年2月付)では、以下の4点が明示されています。
| ポイント① | 令和8年3月9日申請分から、提出書類が変更されました(誓約書・派遣関連書類の追加)。 |
| ポイント② | 申請時点で派遣先が確定していない場合は、許可を受けることができません。必ず派遣先を確定させた上で申請してください。 |
| ポイント③ | 派遣契約期間に応じた在留期間が決定されます(直接雇用よりも短くなる場合があります)。 |
| ポイント④ | 在留審査の際、派遣会社(派遣元)だけでなく、派遣先に対しても業務内容や活動状況の直接確認が行われる場合があります。 |
新たに必要になった書類(令和8年3月9日〜)
派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)、カテゴリー1〜4のすべての所属機関について、以下の書類が追加で必要になりました。
(1)申請人の派遣労働に関する誓約書(参考様式)
- ア 所属機関(派遣元)用
- イ 派遣先用
(2)派遣先での活動内容・派遣契約期間を明らかにする資料の写し
- ア 労働条件通知書(雇用契約書)
- イ 労働者派遣個別契約書
在留期間更新申請の場合の追加書類
在留期間更新許可申請では、上記に加えて以下の書類も必要です。
- ウ 派遣元管理台帳
- エ 派遣先管理台帳
- オ 就業状況報告書
※ 在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請の場合は、ウ〜オは不要です。
誓約書に記載される内容と責任
派遣元(所属機関)用誓約書の主な誓約事項
- 申請書及び提出書類の内容が虚偽でないこと
- 申請人および派遣先に対して在留資格の活動範囲・活動内容を説明し、理解させていること
- 入管が行う関係書類の提出指導・事情聴取・実地調査等の調査に応じること。また派遣先においても当該調査に応じることを確認していること
- 派遣先が変更になった場合はその都度、上記②③と同様の対応を行うこと
派遣先用誓約書の主な誓約事項
- 提出書類の内容が虚偽でないこと
- 在留資格の活動範囲・活動内容を理解し、申請人を当該活動に従事させること
- 入管が行う調査に応じること
誓約が虚偽であった場合や、誓約に反した場合は、当該申請だけでなく、その機関が所属機関となる外国人の在留諸申請の許可が受けられなくなる可能性があります。派遣元・派遣先ともに、内容を十分に確認した上で署名・押印してください。
在留期間は「派遣契約期間」に連動する
派遣形態で就労する場合の在留期間は、派遣契約期間に応じて決定されます。これは直接雇用と大きく異なる点です。
例えば、派遣契約期間が6か月であれば、在留期間も6か月程度に設定される可能性があります。長期的に外国人材を活用したい場合は、契約期間を長めに設定することが重要です。また、契約更新のたびに在留期間更新許可申請が必要になる場合もあるため、管理コストについても事前に考慮しておく必要があります。
※ 派遣先が変更になる場合は、その都度入管への報告・確認が必要となります。
直接雇用と派遣雇用の主な違い(在留資格の観点から)
| 比較項目 | 直接雇用 | 派遣雇用 |
| 在留期間 | 雇用契約期間・業務内容等に応じて設定 | 派遣契約期間に応じて設定(短くなる場合あり) |
| 所属機関 | 雇用先企業 | 派遣元(派遣会社) |
| 審査対象 | 主に雇用先企業・業務内容 | 派遣元+派遣先の両方 |
| 必要書類 | 通常の書類 | 誓約書・派遣関連書類が追加 |
| 申請要件 | 派遣先未定でも申請可能か | 派遣先確定が申請の絶対要件 |
| 調査先 | 雇用先のみ | 派遣元・派遣先の双方 |
実務上の注意点
派遣先決定前に動かない
最も重要な点は「派遣先が確定していない状態で申請しない」ということです。派遣先未定での申請は認められず、申請自体が受理されないか、不許可となります。採用活動のスケジュールを立てる際は、在留資格申請のタイミングを念頭に置き、派遣先を確定させてから申請するように注意が必要です。
誓約書は派遣元・派遣先の両方が必要
誓約書は派遣元(所属機関)と派遣先の双方から取得しなければなりません。派遣先企業に誓約書の趣旨・内容を説明し、協力を得ることが実務上の課題となります。「なぜこんな書類が必要なのか」と疑問に思う派遣先担当者もいますので、事前の説明が重要です。
契約期間の設定に注意
在留期間が派遣契約期間に連動するため、短期の派遣契約では在留期間も短く設定されます。長期的な就労を想定している場合は、派遣契約期間をある程度まとめて設定することを検討してください。
派遣先変更時は入管への対応が必要
誓約書には「派遣先が変更になった場合は、その都度同様の対応を行う」旨が明記されています。派遣先が変わるたびに手続きが発生することを念頭に置いておく必要があります。
実地調査への備え
入管は派遣元だけでなく派遣先に対しても直接調査を行う場合があります。派遣先においても、外国人労働者の実際の業務内容が在留資格の範囲内であることを確認し、記録を整えておくことが重要です。
社会保険労務士・行政書士として対応できること
行政書士岩元事務所では在留資格申請(技術・人文知識・国際業務等)の申請書類作成・提出代行を行っています。また、社会保険労務士として、外国人労働者の雇用管理・社会保険手続きもあわせてサポートしています。
行政書士として対応できること
- 在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の申請書類作成
- 派遣元・派遣先用の誓約書の作成・説明サポート
- 必要書類(労働者派遣個別契約書・派遣元管理台帳等)のチェック
- 入管への申請取次(申請取次行政書士として)
社会保険労務士として対応できること
- 外国人労働者の社会保険・雇用保険手続き
- 派遣元としての労働者派遣法上の義務・管理台帳の整備アドバイス
- 就業規則・雇用契約書の整備
- 在留期間に合わせた雇用管理のアドバイス
外国人の方の雇用や、在留資格の更新・変更でお困りの際は、お気軽にご相談ください。
まとめ
令和8年3月9日から開始した新運用により、技術・人文知識・国際業務の在留資格で派遣形態就労をする場合の申請手続きが厳格化されました。特に以下の点に注意が必要です。
- 派遣先が確定していない状態での申請は認められない
- 派遣元・派遣先双方の誓約書が新たに必要
- 在留期間は派遣契約期間に応じて決定される
- 派遣先に対しても入管の直接調査が行われる場合がある
これらの変更は、派遣会社(派遣元)・派遣先企業・外国人本人のいずれにも大きく影響します。申請準備は余裕をもって行い、書類の不備がないよう専門家に相談することをお勧めします。
行政書士岩元事務所 / 社会保険労務士岩元事務所
※ 本記事は情報提供を目的としています。個別事情により取扱いが異なる場合がありますので、具体的なご相談はお問い合わせください。



