【訪問看護】2026年6月より処遇改善加算がスタート!看護師の賃上げ原資を確保するために
お知らせ

社会保険労務士岩元事務所です。
訪問看護ステーションの皆様にとって、非常に重要な改定が決定しました。
2026年6月施行の制度改正により、訪問看護および訪問リハビリテーションにも「処遇改善加算」が新設されます。
これまで介護分野中心に実施されてきた処遇改善の枠組みが、ついに訪問看護にも拡大されることになります。
慢性的な看護師不足、病院との賃金格差、管理業務の増大――
現場の負担は年々増しています。
今回の加算新設は、
✔ 看護師の確保
✔ 定着率向上
✔ 若手育成
✔ 管理者の処遇見直し
を進めるための、大きな制度的後押しとなります。
1. 加算率と事業所への影響
■ 加算率
1.8%
■ 算定イメージ
月の総単位数 × 1.8%
例えば、
月間請求単位数が150万単位の場合:
150万単位 × 1.8% = 27,000単位相当
年間では30万円以上の原資増となる可能性があります(規模による)。
この加算額は、全額(またはそれ以上)を賃金改善に充てる必要があります。
つまり、
単なる収益増ではなく「賃上げ原資」として制度設計する必要がある点が重要です。
2. なぜ今、訪問看護に処遇改善が必要なのか
訪問看護は、
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24時間対応体制
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医療的ケアの高度化
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看取り件数の増加
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管理業務の煩雑化
など、業務負担が大きくなっています。
しかし一方で、
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病院勤務より給与水準が低い
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夜勤がない分、手当が少ない
-
管理者の業務量に見合う処遇がない
といった構造的課題がありました。
今回の加算は、
「訪問看護の専門性を制度的に評価する第一歩」と言えるでしょう。
3. 算定に必要な準備
加算を取得するには、計画的な準備が不可欠です。
(1)賃金改善実施期間の設定
-
賃金改善実施期間を明確に定める
-
加算額を上回る改善計画を策定する
-
改善方法を文書化する
例:
✔ 基本給の底上げ
✔ 処遇改善手当の新設
✔ 管理者手当の増額
✔ 勤続年数加算の導入
重要なのは、「加算額以上を改善に充てる」設計です。
(2)職場環境等要件(28項目)
既存の処遇改善加算同様、
複数の職場環境改善項目から選択し、実施・公表する必要があります。
主な例:
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研修機会の確保
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OJT体制整備
-
メンタルヘルス対策
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両立支援制度整備
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ハラスメント対策強化
単なる賃上げではなく、
働き続けられる環境づくりが求められます。
(3)ICT活用(特例要件)
特に今回の改定では、生産性向上が強く求められます。
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電子カルテ導入
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モバイル記録システム
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音声入力
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勤怠管理システム
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オンライン会議活用
ICT活用は今後の算定要件の中心テーマになります。
「まだ紙ベース中心」という事業所様は、
今が見直しのタイミングです。
4. 実務上の重要ポイント
加算を算定する場合、以下が必須です。
■ 計画書の提出
算定前に処遇改善計画書を提出。
■ 実績報告
年度末に賃金改善実績を報告。
ここで問題になるのが、
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分配額の計算ミス
-
対象職員の誤認
-
改善額不足
-
実施期間のズレ
です。
要件未達の場合、返還リスクが発生します。
訪問看護は職員数が少ないケースも多く、
一人あたりの分配額が大きくなる傾向があります。
正確なシミュレーションが不可欠です。
5. 配分設計の戦略的ポイント
よくいただくご相談:
「基本給に入れるべき?」
「賞与で調整すべき?」
「管理者にも配分できる?」
法人の方針によって最適解は異なります。
例:
● 採用強化型
→ 基本給を底上げし求人票に反映
● 定着重視型
→ 勤続年数手当を拡充
● 管理体制強化型
→ 管理者・主任手当を充実
制度を“経営戦略”と結びつけることが成功の鍵です。
6. 今後のスケジュール
2026年6月1日
制度施行・算定開始
2026年4月15日
通常の加算計画書提出期限
(※新設分は猶予措置の可能性あり)
とはいえ、
就業規則改定・賃金規程整備には時間がかかります。
2026年初頭から動き出すのでは遅い可能性があります。
7. 社労士からのアドバイス
今から取り組むべきこと:
✅ 現行賃金体系の棚卸し
✅ 職位と役割の整理
✅ 管理者業務の明確化
✅ 加算シミュレーション
✅ 就業規則・賃金規程の確認
✅ ICT環境の現状把握
特に訪問看護は、
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常勤・非常勤の混在
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時短勤務
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オンコール手当
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出動手当
など賃金構造が複雑です。
制度要件と整合する設計が重要です。
8. まとめ
今回の1.8%加算は、
単なる数字以上の意味を持ちます。
✔ 人材確保
✔ 定着率向上
✔ 管理者育成
✔ 組織強化
✔ 将来の報酬改定への備え
訪問看護ステーションが「選ばれる職場」になるためのチャンスです。
制度開始まで時間はあるようで、
実務準備期間は決して長くありません。
「新設される加算の計算方法を詳しく知りたい」
「自社に合った賃金体系を設計してほしい」
「規程整備を専門家に任せたい」
という経営者様は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。
処遇改善を“負担”ではなく“成長戦略”に変えるサポートをいたします。



