「中小企業省力化投資補助金(一般型)」の応募から受給までの流れ
お知らせ
人手不足の解消と生産性向上を目指す中小企業にとって、最大1億円を支援する「中小企業省力化投資補助金(一般型)」は非常に魅力的な制度です。しかし、その手続きは「応募して終わり」ではなく、採択後の交付申請や事業実施、さらには事業終了後の実績報告まで多岐にわたります。
本記事では、第5回公募の内容を踏まえ、応募から採択、交付申請、実績報告、そして補助金受取までの全プロセスを、注意点とともに徹底解説します。
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1. 事前準備:GビズIDと事業計画の策定
補助金申請の第一歩は、電子申請に不可欠な「GビズIDプライムアカウント」の取得です。このID発行には一定の期間(数週間程度)を要するため、公募開始前から準備しておく必要があります。
同時に、自社の課題を分析し、どのような「オーダーメイド設備」を導入するか検討します。本補助金の一般型は、単なる汎用品の購入ではなく、個々の現場環境や業務プロセスに合わせて設計・カスタマイズされた設備やシステムの導入を支援するものです。
事業計画に盛り込むべき「基本要件」
申請にあたっては、以下の目標を含む3〜5年の事業計画を策定しなければなりません。
• 労働生産性の向上: 年平均成長率(CAGR)4.0%以上の向上。
• 賃上げ目標: 1人当たり給与支給総額を年平均3.5%以上増加させること。
• 最低賃金の維持: 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上に保つこと。
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2. ステップ1:応募申請(補助金交付候補者の選定)
準備が整ったら、電子申請システムから応募申請を行います。この段階では、見積書などの詳細な金額証憑よりも、**「どのような課題に対し、どう省力化を図り、どれほどの付加価値を生むか」**という事業計画の内容が重視されます。
審査のポイント
外部有識者による審査委員会では、以下の観点から評価が行われます。
• 技術面: 省力化指数(業務削減率)の妥当性や、オーダーメイド設備の革新性。
• 計画面: 投資回収期間の短さや、社内の実施体制、収益向上の実現可能性。
• 政策面: 地域経済への貢献やイノベーションへの寄与。
また、一定の基準で選定された事業者には、オンラインでの口頭審査が実施される場合があります。
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3. ステップ2:採択通知と「交付申請」
審査を通過すると「補助金交付候補者」として採択されますが、この時点ではまだ補助金の交付は確定していません。採択後、実際の経費を精査するための「交付申請」を行う必要があります。
交付申請までに行う重要事項
1. 研修動画の視聴: 採択者はオンライン研修動画を視聴し、確認テストに合格して「修了証」**を取得しなければなりません。
2. 賃金引き上げ計画の表明: 応募時に立てた賃上げ目標を、全従業員や役員に対して表明し、その証跡を提出します。
3. 見積書の取得(相見積もりの原則): 契約先1件あたりの見積額が50万円(税抜)以上の場合、原則として2者以上の相見積もりが必須です。最低価格の業者を選定しない場合は、合理的な理由書が必要です。
これらを申請システムおよびjGrants(Jグランツ)を通じて提出し、事務局の精査を経てようやく「交付決定」となります。
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4. ステップ3:補助事業の実施(契約・納品・支払い)
交付決定通知書を受け取った後、いよいよ設備の導入を開始します。ここで最も注意すべきは、「交付決定日より前に契約・発注してはいけない」という点です(事前着手不可)。
事業実施期間中のルール
• 期間: 交付決定から18か月以内(かつ採択発表日から20か月以内)に全ての支払いを完了させる必要があります。
• 支払い方法: 原則として銀行振込で行い、通帳の写しなどで実績を証明できるようにします。
• 保険への加入: 導入した機械装置に対し、付保割合50%以上の保険や共済への加入が原則必須となります。
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5. ステップ4:実績報告と補助金の受け取り
設備導入と支払いが完了したら、速やかに「実績報告」を提出します。提出期限は事業完了から30日以内、または事業完了期限日のいずれか早い方です。
確定検査と現地調査
報告を受けた事務局は、書類審査に加えて**現地調査(確定検査)を行います。導入された設備が計画通り設置されているか、帳簿類と整合しているかが厳格にチェックされます。
検査に合格すると補助金額が確定し、精算払請求を行うことで、指定の口座に補助金が振り込まれます。
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6. ステップ5:事業終了後の「効果報告」
補助金を受け取った後も、事業者の義務は続きます。事業計画期間中(1年目終了後の4月から5年間)、毎年、事業実施効果報告を行う必要があります。
補助金の返還要件にご注意を。
効果報告の結果、以下の目標が達成できていない場合、原則として補助金の返還が求められます。
• 賃上げ目標(3.5%以上)が未達の場合: 達成率に応じて返還。
• 事業場内最低賃金の維持要件(+30円)が未達の場合: 補助金額を計画年数で除した額を返還。
※再生事業者の場合は、これらの返還義務が免除されます。
また、導入した設備(単価50万円以上)は処分制限財産となり、法定耐用年数を経過するまでは、事務局の承認なく売却や廃棄、転用をすることはできません。
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まとめ:成功の鍵は「早めの準備」と「ルールの遵守」
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、最大1億円という大型支援である分、そのプロセスには多くのルールとステップが存在します。
第5回公募のスケジュール(予定):
• 公募開始: 2025年12月中旬
• 申請受付: 2026年2月上旬
• 申請締切: 2026年2月下旬
まずはGビズIDを取得し、自社の現場に真の変革をもたらすオーダーメイド設備の構想を練ることから始めてください。手続きの流れを正しく理解し、一つひとつのステップを確実に行うことが、採択と事業成功への近道です。
計画の策定や必要書類の準備に不安がある場合は、専門のコンサルタントや支援機関への相談も検討し、万全の体制で臨みましょう。
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社会保険労務士・行政書士岩元事務所
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