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【令和8年度】地域別最低賃金改定状況まとめ

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【令和8年度】地域別最低賃金改定状況まとめ
~ 目安は全国加重平均1,176円(+55円・4.9%)で決着、地域間格差の是正にも踏み込む ~


1. 結論
2026年(令和8年)7月28日、中央最低賃金審議会は「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安」について、全国加重平均で55円(4.9%)の引き上げとする答申をまとめました。目安どおりに改定されれば、全国加重平均は現在の1,121円から1,176円となります。
引き上げ幅・引き上げ率とも、過去最大となった前年度(令和7年度)の目安63円(6.3%)を下回っており、目安額の伸びが縮小するのは6年ぶりとなります。物価上昇率が前年同時期よりも鈍化していることなどが背景にあるとされています。
一方で、都道府県を経済実態に応じてA~Cの3ランクに分ける「ランク別目安」では、都市部が中心のAランクを54円、地方部が中心のB・Cランクを56円とし、地方の引き上げ額が都市部を上回る配分となりました。東京都・大阪府などの大都市と地方との賃金格差を縮小する方向性が、今回もはっきりと示された形です。


2. 目安決定までの経緯
令和8年度の目安審議は、6月下旬の中央最低賃金審議会への諮問から始まり、7月に入って小委員会での協議が重ねられました。当初は7月23日の第4回小委員会で結論を出す予定でしたが、労使の主張の隔たりが大きく、7月27日、28日と会合が続けられ、最終的に7月28日の第6回小委員会で決着しました。

時期 内容
2026年6月26日 中央最低賃金審議会に厚生労働大臣が諮問。目安に関する小委員会で審議開始(第1回)
2026年7月23日 第4回小委員会。労働者側が75円(6.6%)の引き上げを要求。経営者側は45円を上回る額に理解を示すも結論は持ち越し
2026年7月27日 第5回小委員会。労使の隔たりが埋まらず、公労・公使による二者協議に移行
2026年7月28日 第6回小委員会で決着。全国加重平均55円(4.9%)引き上げの目安を答申(Aランク54円、B・Cランク56円)
2026年8月頃 目安を踏まえ、各都道府県の地方最低賃金審議会が実際の改定額を審議・答申
2026年10月前後 都道府県ごとに新しい最低賃金額が順次発効(都道府県により発効日は異なる)

労働者側は、今春闘における高水準の賃上げ結果や物価高を踏まえ、現行の全国加重平均1,121円から75円(6.6%)の引き上げを要求していました。これに対し経営者側は、具体的な金額は示さなかったものの、中小企業(従業員30人未満)の2026年の賃金上昇水準である45円(3.0%増)を上回る額には理解を示す一方、中東情勢の悪化に伴う原材料費高騰などを理由に、支払い能力を慎重に見極めるよう求めていました。最終的な目安55円は、この45円~75円のレンジの中間よりやや低い水準での決着となりました。


3. ランク別目安額の内訳
目安は、都道府県の経済実態(賃金・物価・企業の支払能力等の指標)に応じて全都道府県をA・B・Cの3ランクに分類し、ランクごとに提示されます。令和8年度の内訳は次のとおりです。

ランク 該当する主な都道府県 令和8年度目安 令和7年度目安(前年)
Aランク 埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪 54円 63円
Bランク 北海道・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・新潟など地方中核圏 56円 63円
Cランク 青森・岩手・秋田・山形・鳥取・高知・沖縄など 56円 64円

Aランク(大都市圏6都府県)が54円である一方、B・Cランク(地方圏)はいずれも56円と、地方の引き上げ額が都市部を上回りました。前年度(令和7年度)はA63円・B63円・C64円と、こちらも地方ほど高い配分でしたが、今回はさらに、大都市と地方の目安額の差(2円)自体は前年度(1円)よりわずかに拡大しています。
この配分の背景には、2026年7月21日に閣議決定された「日本成長戦略」および「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」において、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げる等により地域間格差の是正を図る、との方針が盛り込まれたことがあります。2025年度時点で最高額(東京都1,226円)と最低額(高知・宮崎・沖縄1,023円)の差は203円に達しており、労働者側も今回の審議でこの差を200円以下に縮める考えを示していました。


4. 過去の目安額との比較
令和8年度目安55円(4.9%)は、直近数年の目安額と比べると次のような位置づけになります。
● 令和7年度(2025年度):63円(6.3%)※過去最大の引き上げ幅
● 令和6年度(2024年度):50円(5.0%)
● 令和5年度(2023年度):41円(4.5%)
● 令和4年度(2022年度):31円(3.4%)
● 令和8年度(2026年度):55円(4.9%)※前年度比で6年ぶりの縮小
引き上げ幅そのものは依然として高水準であり、全国加重平均が初めて1,150円台・1,170円台へ乗る計算になりますが、伸び率の面では「過去最大の更新」から「やや落ち着いた引き上げ」への転換点とも言える結果です。


5. 今後のスケジュールと発効日の見通し
中央最低賃金審議会の目安には法的拘束力はなく、あくまで参考値です。実際の金額は、この目安を踏まえて各都道府県の地方最低賃金審議会が審議・答申し、都道府県労働局長が決定します。過去の実績では、目安を上回る答申を行う地方審議会が多数を占めており、令和7年度は39道府県が目安を上回る答申を行い、うち11県は目安を10円以上上回りました。人件費への影響を試算する際は、目安額そのままではなく、10~20円程度の上乗せも想定しておくことが望ましいといえます。
発効日についても、都道府県ごとに差が生じる点に注意が必要です。令和7年度は最速の栃木県(10月1日)から最遅の秋田県(2026年3月31日)まで、約6か月の開きが生じました。この反省を踏まえ、令和8年度に向けては、発効日を大幅な引き上げの「交渉材料」とすべきではないとの考え方が中央最低賃金審議会から示されており、地方審議会には10月前後の発効を目指す動きも見られます。ただし、発効日の全国統一が制度化されたわけではないため、複数の都道府県に事業所を持つ企業は、引き続き都道府県ごとの発効日を個別に確認する必要があります。


6. 実務上の留意点
● パート・アルバイトだけでなく、短時間正社員や地域限定社員など、最低賃金水準に近い賃金で働く従業員を早めに洗い出しておく
● 最低賃金の比較においては、精皆勤手当・通勤手当・家族手当や、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与等は除外して計算する必要がある点を再確認する
● 最低賃金の引き上げに伴い、正社員を含む賃金表全体のバランス(初任給水準や号俸間の差)を見直す必要がないか検討する
● 業務改善助成金・キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)など、賃上げに活用できる助成金の要件を確認する
● 複数都道府県に事業所がある企業は、給与計算システムが都道府県別の発効日設定に対応しているか、8月中を目安に確認する
● 2026年10月には改正・同一労働同一賃金ガイドラインの適用時期も重なるため、最低賃金対応とあわせてパート・有期社員の手当支給基準も点検する


7. まとめ
令和8年度の地域別最低賃金は、7月28日に全国加重平均55円(4.9%)の引き上げという目安が固まり、今後は8月にかけて各都道府県の地方最低賃金審議会での審議・答申、10月前後の発効という流れで進んでいきます。引き上げ幅そのものは前年度よりやや縮小したものの、地域間格差の是正を意識した配分により、地方の企業ほど実際の影響が大きくなる可能性がある点には注意が必要です。
最新の都道府県別確定額・発効日については、答申が出そろい次第、厚生労働省の公表資料をもとに改めてご案内いたします。人件費試算や賃金規定の見直し、助成金の活用等でお困りの際は、お気軽に当事務所までご相談ください。

参考資料・引用元URL
・厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
・日本経済新聞「最低賃金の全国平均1176円に 26年度目安、55円引き上げ」(2026年7月28日) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2828Y0Y6A720C2000000/
・時事通信「最低賃金、1176円に 目安「55円」、前年度は下回る―厚労省審議会」(2026年7月28日) https://www.jiji.com/jc/article?k=2026072801043&g=soc
・寺田税理士・社会保険労務士事務所「2025年度 都道府県別最低賃金額と適用日一覧」(2026年7月29日更新) https://taxlabor.com/minimum-wage-japan/
・寺田税理士・社会保険労務士事務所「【随時更新】2026年度最低賃金はいくら?目安1,176円で決着」 https://taxlabor.com/minimum-wage-update/
・かいけつ!人事労務「令和8年度地域別最低賃金 引き上げに向けて引き続き議論(第4回目の中央最低賃金審議会(小委員会)を開催)」 https://www.kaiketsu-j.com/evaluation/23151/

※本稿は2026年7月29日時点で確認できた情報に基づいて作成しています。都道府県別の確定額・発効日は、各地方最低賃金審議会の答申後に確定するため、最新情報は厚生労働省および各都道府県労働局の公式発表をご確認ください。

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