令和8年度「介護職員等処遇改善加算」大幅改定のポイント
お知らせ
~対象職種・サービスの拡大、生産性向上による上乗せ、申請スケジュールを徹底解説~
介護事業所の経営者様、事務担当者様へ。
令和8年3月4日、厚生労働省より「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度)(案)」が発出されました。
令和8年度の処遇改善加算は、本来であれば次期改定である令和9年度を待たずに「期中改定」として、大きな制度変更が行われます。本記事では、この改定案の目玉となる対象者の拡大や新加算区分の創設、新たに加算対象となるサービスに関する要件、そして非常にタイトな申請スケジュールについて、行政書士の視点から分かりやすく解説します。
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1.令和8年度改定の3つの大きな変更点
総合経済対策に基づく「緊急的対応」として、今回の期中改定では以下の大きな変更が予定されています。
① 介護職員から「介護従事者」へ対象を拡大
これまで処遇改善加算の主たる対象は「介護職員」でしたが、今回の改定により、看護職員、リハビリ職、ケアマネジャー、事務職員などを含む「介護従事者」へと対象が拡大されます。これにより、幅広く月額1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置が講じられます。
② 生産性向上や協働化への「上乗せ」加算の創設
ICT導入などの生産性向上や、協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に、さらに月額0.7万円(2.4%)の上乗せ措置が実施されます。定期昇給分(0.2万円)を含めると、最大で月額1.9万円(6.3%)の賃上げが実現する仕組みとなっています。
③ 訪問看護や居宅介護支援などへ処遇改善加算を「新設」
これまで処遇改善加算の対象外とされていた、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援について、新たに処遇改善加算が創設されます。
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2.令和8年6月からの「新区分」と「令和8年度特例要件」
令和8年度の加算は、4・5月は現行の加算区分(Ⅰ~Ⅳ)のままですが、令和8年6月以降は新しい加算区分へと移行します。
- 令和8年6月以降の新区分: 処遇改善加算Ⅰイ、Ⅰロ、Ⅱイ、Ⅱロ、Ⅲ、Ⅳ
より上位の区分(Ⅰロ、Ⅱロなど)を取得するためには、従来の算定要件に加えて、新たに設けられた「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。
【重要】「令和8年度特例要件」とは?
生産性向上や協働化に係る取組として、以下のいずれかを実施していることが求められます。
- ケアプランデータ連携システムの利用(訪問・通所系等)
- 生産性向上推進体制加算(Ⅰ又はⅡ)の算定(施設・居住系等)
- 社会福祉連携推進法人への所属
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3.新規対象サービス(訪問看護・居宅介護支援等)の算定要件
今回新たに処遇改善加算の対象となる「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「居宅介護支援」「介護予防支援」については、以下のいずれかの要件を満たすことで加算(一律の加算率)を算定できます。
- 「令和8年度特例要件」を満たすこと(ケアプランデータ連携システムの利用、または社会福祉連携推進法人への所属)
- 「処遇改善加算Ⅳの取得に準ずる要件」を満たすこと(キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、及び職場環境等要件の実施)
つまり、就業規則やキャリアパスの整備が追いついていない事業所であっても、「ケアプランデータ連携システム」を導入・利用することで、速やかに加算を取得できるルートが用意されています。
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4.負担軽減のための「誓約」による猶予措置
今回の改定は準備期間が短いため、事業者の負担を軽減するための特例(配慮措置)が設けられています。
処遇改善計画書の申請時点において、「令和8年度特例要件」を満たす事業所(または特例要件に係るシステムの利用や加算算定を誓約する事業所)に限り、就業規則の改定やキャリアパスの整備、賃金改善の実施等について、「令和9年3月末までに整備を行うことを誓約」すれば、申請時点から要件を満たしているものとして加算を算定できます。
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5.申請スケジュールと実務上の注意点
計画書の提出期限は、これまでと異なる変則的なスケジュールとなっています。十分にご注意ください。
- 既存の対象サービス事業所:【令和8年4月15日 締切】 令和8年4・5月分と、令和8年6月以降分の計画書をあわせて、令和8年4月15日までに各都道府県知事等へ提出する必要があります。
- 新たに加算対象となるサービス事業所等:【令和8年6月15日 締切】 訪問看護や居宅介護支援など、令和8年6月から新規に算定を開始する事業所については、令和8年6月15日が提出期限となります。
また、計画書に変更があった場合や、算定区分を変更する場合は、算定開始月の前月15日(居宅系)または当月1日(施設系)までに体制届等の変更届を提出する必要があります。
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6.行政書士事務所からのサポート案内
令和8年度の介護職員等処遇改善加算は、対象者の拡大や新要件の追加により、計画書の作成や要件の確認がこれまで以上に複雑になっています。特に「生産性向上」の要件を満たすためのシステム導入の検討や、賃金配分ルールの見直しなど、経営判断が求められる事項が多く含まれています。
当行政書士事務所では、多忙な介護事業者様に代わり、以下のサポートを提供しております。
- 処遇改善計画書・実績報告書の作成および提出代行
- 各加算区分の要件クリアに向けたコンサルティング
- 体制等状況一覧表(体制届)の作成・提出
- 要件を満たすための社内体制整備のアドバイス(必要に応じた社会保険労務士等の専門家ネットワークとの連携)
「自社は新しいどの区分に該当するのか?」「新規対象サービスの要件をどうクリアすればよいか?」など、ご不明な点がございましたら、提出期限に間に合わなくなる前に、ぜひお早めに当事務所までご相談ください。迅速かつ正確な手続きで、事業者様の安定経営と職員の皆様の処遇改善を力強くサポートいたします。
(※本記事は令和8年3月4日時点の厚生労働省通知案に基づき作成しております。実際の運用や各都道府県への提出にあたっては、正式な通知や各自治体の案内を必ずご確認ください。)



